【書評】プロジェクトマネジメントの基本が全部わかる本 橋本将功著

ビジネス本

プロジェクトマネージャーは、主にIT業界でプロジェクト全体を率いてプロジェクトの推進を行う役割です。
大変な責任を負う一方で、やりがいもある仕事です。

しかしながら、そのスキル属人化されており引き継がれていかない状態で人出不足が叫ばれています。
そんなプロジェクトマネージャー、予備軍に対して本書は、タイトルの通りプロジェクトマネジメントの基本をわかりやすく教えてくれる本です。

基本的にシステム開発などのIT系の経験をもとしていますが、それ以外のプロジェクトマネージャーにも役に立つでしょう。

この本はこんな方におすすめ!
  • プロジェクトマネージャーを目指す人
  • プロジェクトマネジメントを勉強しなおしたい人
  • プロジェクトマネジメントのスキルを引き継ぎたい人
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内容の紹介と感想

プロジェクトマネジメントとは球拾いである。
練習している選手にボールを拾ってサポートするように、メンバーが気持ちよく働けるようにサポートすること。
著者は、プロジェクトマネジメントをこのように説いています。

本書は、タイトルの通りそんなプロジェクトマネジメントの基本をわかりやすく教えてくれる本です。
基本的にシステム開発などのIT系の経験をもとしていますが、それ以外のプロジェクトマネージャーにも役に立つでしょう。

プロジェクトマネージャーって、憧れの存在のような気がしますが、今やあまりやりたがらない人も多いのではないでしょうか。
規模が大きくなればなるほど難易度は上がるし、責任も大きくなる。
日本のITプロジェクトは7割が失敗していると言われています。
なかには、表向きだけ成功という扱いにしているプロジェクトもあるとかないとか…。

PMになると7割の確率で失敗の責任を負わなければならない、となるとやりたくもなくなりますよね。 ただ、成功したときの達成感は相当なものですし、このスキルが身につくと引く手数多でしょうね。

なぜ、ITプロジェクトの大半が失敗するかというと、プロジェクトは唯一無二であるからではないでしょうか。
同じプロジェクトは存在しないため、前回の成功体験が必ずしも通用するとは限りません。
ある程度の規模のプロジェクトではPMがすべて見通せる範囲で通用したことが、大きいプロジェクトになると、人を頼らないといけなくなります。

そうすると、プロジェクトのルールを作成したり、体制を整えたりと、同じようにやっていては通用しないということはよくあるでしょう。

こういった事象に対応すべく、体系的に知識をまとめたPMBOK(Project Management Body of Knowledge)といったガイドブックが存在します。 しかしながら、すべてのプロジェクトに適用できるように汎用化されているため、具体性に欠けなんとなくぼやけてしまっています。 私の周りでも、PMBOKを活用しプロジェクトを遂行しているという人は見たことがありません。

本書は、PMBOKより具体化され、現場で活用できるレベルまで噛み砕いてくれているので、これからPMをやる人、すでにPMだけど知識を改めて習得したい人におすすめです。

交渉

プロジェクトマネージャーにいきなりなる人はあまりいないですよね。
システム開発で言えば、プログラマーやシステムエンジニアを経験してPMになるルートが王道かと思います。
そんな、技術系の対応をしてきた人にとって苦手なのが「交渉」ではないでしょうか。
PMBOKや体系化された教科書にはあまり書かれていないような交渉術が紹介されています。

交渉ごとを難しくなる一つの要因として、上下関係の存在があります。
とくに日本ではこの色が強く残っています。 本書でも「金を払うほうが偉い」だったり、「大企業は偉い」のようなことが紹介されています。

「金を払うほうが偉い」というのは、ベンダーでいえば発注者だったり、システム部門であればユーザ部門が偉いという感覚でしょうか。心当たりありますね。
しかし、この「偉い」側の立場の人のことを全部受け入れてしまってはプロジェクトは絶対うまくいきません

本書では以下のポイントが紹介されています。

  • ヒアリングの機会を定期的に設ける
  • コミュニケーション手段を使い分ける
  • 説明資料と議事録を文書化する
  • 相談内容や決定事項は関係各所に共有する
  • フォーメーションを組んで交渉する

至極当たり前のことが並んでいる気もしますが、とても大切なことです。
コミュニケーション手段とは、「同期/非同期」「言語/非言語」。

同期コミュニケーションは対面やオンライン打ち合わせ、非同期コミュニケーションはメール・チャット、ツールを使用したもの。
言語コミュニケーションはテキストを使用したもの、非言語は表情やボディランゲージのこと。
それぞれにメリット・デメリットがありますのでうまくバランスを取って活用することが必要です。

また、議事録を文書化して共有することは、自分自身を守るためにも重要です。
交渉のコツではないかもしれませんが、せっかくうまくいった交渉が後で覆されないように証跡を残していくことは重要ですね。

交渉ごとは難しいですが、相手との信頼関係を築くことと、社内で共有して味方を作って挑むことが重要だと思いました。

プロジェクト計画

プロジェクトを進めていくなかで最も重要なのが計画を立てること。 これがないと、プロジェクトが進んでいきませんし、予定通り進んでいるかどうかがわかりません。 本書では以下のポイントをまとめています。

  • ヒアリング ープロジェクトの要件を確認・提案する
  • 座組とチームビルディング ープロジェクトの体制を整える
  • アサイン ー誰になにを依頼するかを決める
  • 目的 ープロジェクトの真の目指すべきところをとらえる
  • QCD(品質・コスト・納期) ープロジェクトの判断基準を決める
  • 会議体と意思決定フロー ー適切なプロジェクト推進方法を決める
  • 契約形態 ー請負化準委任かを確認する
  • マイルストーン ー進捗を関係者で共有する
  • 情報共有のやり方 ー意思疎通の仕組みをつくる

実際のプロジェクトによっては、上記のなかからすでに決まっているようなこともあるかと思いますので、うまく使い分けたらよいかと思います。

このなかでも「座組」。
私はあまりこの表現を使ってきませんでしたが、「体制」と同意ですね。

座組とアサインは表裏一体かと思いますが、誰に何をやってもらうかを考えたうえで体制を構築する。
社内、社外含めてきちんと考えておかないと後で取り返しがつかなくなります。

私の経験上、社内についてはステークホルダーのリテラシーレベルの確認は重要かと思います。
発注側の立場の人にはITリテラシーが低い人がいることもあります。
こうゆう人が強い権限をもっていることもよくありますね。
ですので、うまくプロジェクトを進めるためにどのように説明が必要かなどを考えておく必要があります。

社外については、ベンダーを選定することもプロジェクトでは重要であり、大変な作業となります。
大きいプロジェクトであれば、複数社から提案をもらうこともあるでしょう。
この選定の際のチェックポイントも紹介がされており、いままで自社での考えを含めて一般論としてどのようなことを確認しなければいけないかも知ることができます。

まとめ

本書は、プロジェクトマネジメントに必要な知識を現場レベルで具体化してくれている本です。
上記で紹介した、交渉やプロジェクト計画のほか、実際のプロジェクトが進めるにあたっての必要な、要件定義~テスト・リリースまで紹介してくれています。
これ一冊あれば、プロジェクトマネジメントの基本がつかめます。

プロジェクトマネジメントに従事する前に一度読んでおくこともおすすめしますが、実際にプロジェクトに関わった後や、まさに関わっている最中に読むとより刺さるかもしれません。

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本書の目次

  • 序章:プロジェクトマネジメントのスキルの全体像
  • 第1章:プロジェクトとはなにか ー基本的な知識と考え方をおさえよう
  • 第2章:交渉 ー適切なパートナーシップを築こう
  • 第3章:タスクマネジメント ーチームでパスワークをしよう
  • 第4章:プロジェクト計画 ー目標や進め方を決めよう
  • 第5章:見積 ー必要な費用とスケジュールを構想しよう
  • 第6章:契約 ー不利な条件を回避しよう
  • 第7章:要件定義 ーやるべきことを決めよう
  • 第8章:デザイン ー顧客が本当に必要だったものを目指そう
  • 第9章:設計 ー専門家に渡すバトンをつくろう
  • 第10章:テスト ー事業リスクを最小限におさえよう
  • 第11章:リリース ー石橋を叩いて渡ろう
  • 第12章:保守改善 ー事業の成功につなげよう

著者の紹介

橋本将功さんは、パラダイスウェア株式会社 代表取締役。
過去20年間以上、IT業界で50社以上、500件を超えるプロジェクトに関わってきています。
その経験を基に、プロジェクトマネジメントツール「マンモスプロジェクト」、オンライン講座「プロマネ道場」、DXソリューション「クイックDX」を提供。

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。

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