今回は、ミステリー界において「叙述トリックの名作」として必ず名前が挙がる、殊能将之さんのデビュー作『ハサミ男』をようやく読了しました。
これまで数多くのブックリストやミステリー特集で見かけてはいたものの、なんとなく読むタイミングを逃し続けていた本作。結論から申し上げます。
「さすが名作。もっと早く読んでおけばよかった……!」
読み終わった瞬間、心地よい敗北感に包まれるとともに、物語に仕掛けられた無数の罠の凄まじさに鳥肌が立ちました。
今回は、この稀代の傑作ミステリーがなぜこれほどまでに評価され、時代を超えて読まれ続けているのか、その魅力をネタバレ一切なしで熱く語っていきたいと思います。
『ハサミ男』、なんと今ならAmazonの読み放題サービス「Kindle Unlimited」の対象タイトルになっています!
すでに会員の方は今すぐ追加料金なしでダウンロードして読めますし、まだ登録していない方でも初回30日間の無料体験を利用すれば、実質タダで読めます!
『ハサミ男』のあらすじと概要
まずは、本作の基本的なプロフィールとあらすじを簡単にご紹介します。
- 著者:殊能 将之(しゅのう まさゆき)
- 初版刊行:1999年
- 受賞歴:第13回メフィスト賞 受賞
本作は1999年に講談社ノベルスからデビュー作として刊行され、その圧倒的なクオリティからミステリーファンを震撼させました。2005年には豊川悦司さん、麻生久美子さんらの出演で映画化もされています。
── あらすじ ──
都内を震撼させる連続殺人犯「ハサミ男」。彼は自分のターゲットとした美少女を殺害した後、その喉に「ハサミ」を突き立てるという極めて異常かつ冷酷な手口から、世間や警察からそう呼ばれていた。
ハサミ男は、3人目の犠牲者となるべき女子高生を綿密に調査し、犯行の機会をうかがっていた。しかし、いざ決行しようとターゲットに近づいたその時、彼は驚愕の光景を目にする。
なんと、自分が殺害するはずだった女子高生が、自分の手口とまったく同じ方法(喉にハサミを突き立てられた状態)で、すでに死体となっていたのだ。
「一体誰が、自分の真似をして彼女を殺したのか?」
知らぬ間に見知らぬ「模倣犯」によって先手を打たれてしまったハサミ男。
このままでは、自分が犯していない3件目の殺人の罪まで着せられてしまう。
プライドを傷つけられ、窮地に追い込まれたハサミ男は、自らの潔白(?)を証明するため、そして自分を出し抜いた真犯人の正体を暴くため、独自に調査を開始する──。
「なるほど、そういうことか!」と唸る圧倒的な叙述トリック
本作の最大の魅力であり、ミステリー史に名を残す理由となっているのが、鮮やかな「叙述トリック」です。
叙述トリックとは、文章の書き方や表現の工夫によって、読者の「思い込み」や「先入観」を巧みに誘い、事実とは異なる状況を信じ込ませるテクニックのこと。
本作を読み進めていくと、ある段階で「なるほど、そういう叙述トリックね!」と思い知らされる瞬間がやってきます。それはまさに、頭をガツンと殴られたような衝撃です。
しかも、そのトリックが明かされた時、決して「作者の強引な後出しジャンケン」だとは感じません。むしろ、その逆です。
「このトリックを成立させるために、どれだけ緻密な計算がなされていたんだ……」と、作者の圧倒的な構成力にひたすら感動させられます。
物語の要所要所に、一見すると何気ない描写や、登場人物たちのセリフ、行動が散りばめられているのですが、それらすべてが「読者を美しく騙すための仕掛け」として完璧に機能しているのです。
「あれ?どういうこと?」と思っている間に、すでに術中にはまっていた
読書中、私は何度か「あれ?どういうことだろう?」と小さな違和感を覚えるポイントがありました。
登場人物のちょっとした一言や、場面のつながり、状況の描写に対して、「ん?何か引っかかるな……」と感じる瞬間があるのです。
ミステリーを読み慣れている人ほど、その違和感の正体を突き止めようと、脳のアンテナを敏感にするかもしれません。
しかし、恐ろしいのはここからです。
その「あれ?」と思っている瞬間、頭の中で必死に推理を巡らせているその最中に、私たちはすでに作者の術中に完全にはまり、見事に騙されていたわけです。
読者が抱く違和感すらも、おそらく作者にとっては想定内。
「ここに違和感を持たせることで、視線をこちらに誘導し、本当に隠したい部分から目を逸らさせる」という、まるで一流のマジシャンによるスライト・オブ・ハンド(手品の手練手管)を見せられているかのような快感があります。
気づいた時にはもう遅い。張り巡らされたクモの巣に、自ら喜んで飛び込んでいたかのような、最高の騙され心地を味わうことができます。
最後の一文で訪れる「?」から「ゾクッ」へのカウントダウン
そして、本作を語る上で絶対に外せないのが、物語の「最後の一文」です。
本編の謎が綺麗に解き明かされ、驚きと満足感に浸りながらページをめくっていくと、本当に最後の最後に、その一文が待ち受けています。
最初に読んだ瞬間は、一瞬頭がフリーズして「?」となりました。「えっ、どういうこと?」「なんでこの言葉で終わるの?」と、脳が一瞬処理を拒否するような感覚です。
しかし、その「?」の意味を頭の中で反芻し、これまでの物語の背景や設定と結びつけた瞬間──。
全身の血がスッと引いていくような、強烈な「ゾクッ」とした恐怖が襲ってきました。
あのラストは本当に見事です。それまでに提示された綺麗な解決の余韻を、たった一行でひっくり返すような不穏さ。
意味が分かった瞬間に、物語全体の景色がもう一度ガラリと変わるような、極上のサスペンスがそこに凝縮されています。
あの衝撃を味わうためだけでも、この本を手に取る価値は間違いなくあります。
【総評】今すぐ最初から読み直したくなる、これぞ「二度読み必至」の最高峰
『ハサミ男』を読み終えて最初に思ったのは、「今すぐ何回でも読み直したい!」ということでした。
ミステリーの中には、「トリックが分かってしまったら、二度目はもう楽しめない」という作品もあります。
しかし、本作は全く違います。
むしろ、トリックを知った状態からスタートする「2周目の読書」こそが、この作品の本当の恐ろしさを堪能できる時間だと言えます。
- 「あの時、ハサミ男が放ったあのセリフの本当の意味は……」
- 「この場面のこの描写、実はこういう状況を指していたのか!」
- 「ここに、こんなに分かりやすい伏線が置いてあったのに、なぜ気づかなかったんだ!」
このように、初読時にはスルーしてしまっていた「要所の仕掛け」の数々を、答え合わせしていく作業が最高にエキサイティングなのです。
1粒で2度美味しいどころか、読むたびに新しい発見がある、まさに「さすが名作」と拍手を送りたくなる一冊でした。
── こんな人におすすめ ──
- とにかく綺麗に騙されるミステリーが読みたい人
- 「叙述トリック」の最高峰に触れてみたい人
- 読み終わった後、すぐに最初から読み直したくなるような本を探している人
- 読後に「ゾクッ」とするような鳥肌ものの体験がしたい人
1999年の作品ですが、今読んでも全く色褪せない新鮮さと驚きがあります。
もし、私と同じように「名作だと知っているけれど、まだ読んでいない」という方がいたら、今すぐ書店や図書館に走ることを強くおすすめします。
あなたが「あれ?」と首を傾げたその瞬間、もう『ハサミ男』の罠からは逃れられなくなっているはずです。
今回ご紹介した『ハサミ男』、なんと今ならAmazonの読み放題サービス「Kindle Unlimited」の対象タイトルになっています!
すでに会員の方は今すぐ追加料金なしでダウンロードして読めますし、まだ登録していない方でも初回30日間の無料体験を利用すれば、実質タダであの「最後の一文のゾクッとする衝撃」を味わうことができます。



コメント